2006年12月20日更新

 

学会誌への投稿の手引き

 

学会誌編集委員会

 

この手引きは、これまでの編集過程で検討されたことを整理したものである。編集作業を円滑に行うため、また、レフリー制度運用の透明性を高めるためのマニュアルといえる。また、投稿規定を補う細則の性格をもっているので、学会誌へ投稿の際には、是非一読されたい。

 

1.学会誌の目的

本学会誌『地方自治研究』(以下、本誌という)は、日本地方自治研究学会の規約第2条(目的)に基づき、地方自治に関する理論および政策等の研究成果を公表することを主な目的としている。学会外部へ情報を発信するとともに、会員間の交流により学会の知的共有財産を形成することを目指している。

 

2.編集方針と投稿締切り

本誌は年2回、一方は全国大会の特集号として、他方は自由応募の論文集として編集・発行している。

前者の投稿案内は全国大会の報告者にのみ郵送している。投稿の締切りは全国大会のおよそ2ヶ月後である。

後者の投稿案内は全会員に郵送で行っている。また当ホームページにも掲載している。投稿の締切りは、毎回ほぼ同じで、4月上旬である。

なお、レフリー制度を採用しているため、投稿した号に原稿を掲載できないこともありうる。入稿予定日までに審査を終了できない場合、次号に持ち越しとなる。

 

3.原稿の字数制限

投稿規約第1項により、研究論文は15,000字以内(図表も含む)としている。ワープロで原稿を作成する場合、1行文字数40字、33行でページ設定し(1ページ当たり1,320字)、11.5ページ以内とする(全15,180字)。

ワープロ・ソフトによっては自動的に字数を計算する機能を備えているものがあるが、これは正味の字数であり、スペース(語間のあき)を計算していないことに注意されたい。制限字数は、慣例にしたがい、正味の字数を数えるのではなく、段落ごとに改行して清書したときの原稿枚数に換算して理解すべきものである。これには図表も含んでおり、図表は適切な大きさによって誌面に占める面積に基づいて字数を換算する必要がある。

本誌も予算上の制約のもとで発行されている以上、字数制限を設けることはやむを得ない。この趣旨を理解して、投稿の際は十分に注意するようお願いしたい。

 

4.レフリー制度

本誌は1995年よりレフリー(査読)制度を導入している。当初は試行錯誤であったが、1999年に正式に「編集規定」「投稿規定」「論文審査規定」を設けた。

この制度の目的は、学会誌の質を維持することである。価値の低い論文がたくさん載れば、それだけ評価が下がり、延いては学会自体の評価を下げてしまいかねない。社会的信用が第一の学会としては、そのような事態は避けなければならない。

さて、投稿された論文の審査は、編集委員会による形式審査と、査読委員(レフリー)による内容審査がある。

まず形式審査は、投稿原稿が著しく投稿規定に反している(たとえば引用などの不備)ために、内容審査に入ることが不可能と判断した場合、あるいは表題等からみて当学会誌の目的に沿わないことが明白な場合、編集委員会の責任で投稿者に再考を求めている。

他方、内容審査については、「査読結果報告書」の中で次のような項目を設けている。

      イ.論文としての体裁に欠けている。

      ロ.内容および表現の正確性に欠けている。

      ハ.論文としての独創性に欠けている。

      二.未発表の論文とはいいがたい。

      ホ.論文としての水準とはいいがたい。

      へ.「地方自治研究」の論文として適当な内容とは認められない。

査読においては、研究論文――オリジナルな研究成果をまとめたもの――としての水準を保っているかどうかが焦点となる。したがって、投稿論文の学問的価値を評価するのに最も適任と考えられる会員2名に査読を依頼している。しかし、研究領域が近い場合でも、投稿者が論文作成の過程で指導を仰いだ人などは、査読委員の選任対象から外されることは当然である。さらに、本学会が学際的研究を特徴としていることから、論文のテーマによっては、査読委員の専門分野が異なるように配慮している。

なお、公正を期すため、原稿は投稿者名を隠して査読委員に送付されるとともに、査読委員は投稿者に対して匿名とし、査読委員が自由に意見を表明できるよう保障している。

 

5.研究論文の独創性

研究論文とは、長短にかかわらず、オリジナル(独創的)な研究成果をまとめたものである。それは、地方自治の領域における理論や政策などに関する新しい内容であって、その研究目的と結論が明確であることが条件である。情報提供にすぎないもの、単に事象を羅列したものは研究論文には値しない。もちろん原稿は未発表のものに限られる。

「独創性」とは、著者独自の考えに基づくものであり、他にはない「新規性」を備えていることが条件である。しかし、単に新しいというだけでは必ずしも十分ではなく、その研究が学問の進歩に貢献するという意味での「有用性」を備えていなければならない。したがって、既存の研究の到達点はどこまでであり、どのような課題があり解決されなければならないかを明示しなければならない。

実は、論文掲載の可否を判断するときに最も困ることは、「とりあえずこうなった」という結論だけが強調され、そのことがいかなる学問的価値をもっているのかがはっきりしないことである。論文の性格が、既存の理論では捉えられない問題の提起であるのか、あるいは、既存のものとは異なる解決策の提案にあるのか、いずれの場合であっても、何のための論文であるのかを明らかにすることが重要である。

 

6.研究論文の体裁

研究論文はそれに相応しい体裁を整える必要がある。その基本は、明確な目的のもとで著者の見解が筋道を立ててまとめられていることである。これはかなり客観的に見ることができる。たとえば論文の冒頭において目的が明示されていること、論点が絞り込まれていること、目的と結論が対応していることが基準になる。また、論文の価値を左右する部分に十分な紙幅が割かれていることも目安になる。逆にいえば、あれこれ触れてはいるが、何を一番いいたいのかわからず、結局、著者の意図をはかりかねるものは、研究論文には値しないということになる。

ここで再度強調しておきたいことは、論点を絞り込むことの大切さである。あれこれ言おうとすると、どれも中途半端になりがちであり、結果的に完成度が低いと見なされてしまう。テーマによっては多くのことを主張しなければならないかもしれないが、そのような場合でも、特に重要な論点を中心に展開すべきであろう。十分に論じ尽くせない論点は、別の論文に回すことも考えられるし、その旨を結論部分で述べるようにしたい。

 

7.内容および表現の正確性

査読委員には表現の適切さについても意見を寄せてもらっている。論文を本誌に掲載することは、他者に読んでもらうことであるから、字句の端々に至るまで仔細に吟味されていなければならない。ところが、表現が十分に練られていないものや、論文としての形式に不備があるものも少なくない。極端な場合、査読に支障が出ることもあるので、注意していただきたい。

たとえば既知の事実を引用する場合、文献などを明示する必要がある。これは、読者に対する配慮であるばかりか、査読委員が原資料にあたって資料の使い方が適切であるかどうかを吟味することがあるため、ページ数まで正確に記載する必要がある。また、論文のオリジナリティを評価するためにも重要である。なぜなら多くの論文は既存の議論に何か新しい論点を付け加えたり、あるいは、すでに指摘されている論点を新しい視点からさらに掘り下げたものである。したがって、従来の理論の到達点はどこまでであり、投稿論文の新たな貢献が何であるのかを明らかにしなければならないからである。

逆に、新しいことを主張する場合、著者が最もよく理解しているはずであるから、読者がフォローできるように配慮することが大切である。本誌は、多様な分野の読者を想定しているので、少し専門分野の異なる人にも理解できるように、わかりやすく論理を展開する必要がある。また、数式だけの羅列は望ましくなく、その意味するところを言葉で補って理解を促すべきである。どんなに優れた内容であっても、理解されないでは評価もされないということを忘れないでほしい。

 

8.論文掲載の適否

査読委員の審査報告は次のように区分される。

@   当……掲載の措置をとる。

A 条件つき適(1)……査読委員のコメントを投稿者に返送し、再検討および修正を要請する。再提出されると、編集委員会の責任で掲載の措置をとる。

B 条件つき適(2)……査読委員のコメントを投稿者に返送し、再検討および修正を要請する。再提出されると、当該査読委員に再査読を要請する。

C   適……不掲載の措置をとる。

なお、条件つき適(1)と(2)の違いは再査読を行うか否かであるが、再査読を必要とする条件とは次のとおりである。まず、条件つき適とは、論文のオリジナリティ、目的や結論の明確さ、記述の正確性などの点において、研究論文として一定の水準にあることが前提である。その上で、さらに改善するための修正を求めるのであるが、修正箇所が多岐にわたる場合、あるいは、論文としての価値を左右するほどに重要な修正である場合には、やはり再査読が必要である。このような場合は専門的な判断が必要であり、必ずしも専門分野が一致しない編集委員では適切な判断ができないからである。

本誌への論文掲載の適否は、2名の査読委員の審査報告に基づいて編集委員会が決定している。2名の査読委員の所見が一致しない場合には、編集委員会は査読報告書を綿密に検討し、不明な点は当該査読委員に直接確認するなどして慎重に結論を出している。これにより投稿者へは、必ず修正しなければならない点と、査読委員の見解を参考にして検討を要望する点とを区別して通知している。投稿者は、受け入れるべき意見と思えない場合には、理由を付して従えない旨を編集委員会に申し立てることができる。

なお、掲載原稿には、@研究論文(Article):長短にかかわらず、オリジナル(独創的)な研究成果をまとめたもの、A研究ノート(Research Note):概念整理、理論仮説、分析枠組、政策モデル等において研究途上にあるが、学術的価値が認められるもの、B研究資料(Research Material):事例、調査等について資料的価値のあるもの、といった区別がある。研究論文としては掲載できなくとも、研究ノートあるいは研究資料として掲載できると判断した場合、投稿者の意向を確認することがある。

 

9.入稿時の注意事項

  ワープロを使用した場合、打ち出し原稿とともにフロッピーで提出する。その際、次の点に注意をお願いしたい。

一太郎とワード以外のソフトを使用した場合、必ずテキスト・スタイルでセーブする。

エクセル等で図表を作成したときは、図表のみ別ファイルとする。

図表を載せるときは大きさに注意する。大きすぎると掲載できない。

 

10.抜刷

希望者には、実費負担で抜刷を配布する。基本は50部で代金は6,000円である。さらに50部まで追加可能で、追加代金は一律3,000円である。郵送費は別に請求する。

校正時に申込み、引渡し後、速やかに郵便振替にて支払う。

 

11.投稿者への無料頒布

希望があれば、投稿者には学会誌を3部まで無料で配布する。学会事務局まで連絡されたい。