小売業のための基礎からわかるIFRSのポイント
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147.IFRS導入で小売業の財務諸表は どうなるの? IFRSの採用は小売業の財務諸表にどのような影響を与えるのでしょうか。ここでは典型的な項目をいくつか取り上げてみましょう。●売上は激減する可能性あり? 例えば、ショッピングモールについて、日本ではそのモール全体での売上を、モールを運営する小売業者の損益計算書において収益として認識することが一般的ですが、IFRSを採用するとテナントの売上や、委託や消化とよばれる取引については、その利益部分しか収益に含めることができなくなり、小売業者の売上は大きく減少してしまう可能性があります。●ポイント付与は売上高の減少? 家電量販店等で販売時に顧客に付与されるポイントについて、日本基準では費用として計上されるケースが多いですが、IFRSでは売上から控除することとされているため、売上高はより小さくなる可能性があります。●業績不振店舗の減損リスクが高まる? 新店・改装をはじめとする投資の結果、小売業が保有する多くの店舗資産について、不採算店舗などで含み損が発生している場合、その損を、発生した期の損益計算書で計上させるいわゆる「固定資産の減損会計」について、IFRSでは日本基準よりもより早期に損失計上させる規定があります。 詳しくはまた第2章で見ていきたいと思いますが、ルールが変わると数字も大きく変わる、小売業もまた例外ではない、ということがおわかりいただけたでしょうか。

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