相続税対策としての家族信託
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第1章●ここがポイント!家族信託の基礎知識19数から報酬を得て、反復継続して信託業務を行う商事信託が、日本の信託の長い歴史でした。 しかし、信託法の大改正によって、信託を業としない受託者の存在が許されるようになりました。いわゆる民事信託です。商事信託を営むには金融庁の免許が必要ですが、民事信託は金融庁の免許は必要なく、信託業法も関係ありません。ただし、信託法に違反してはいけません。民事信託は商事信託と異なり営利を目的とせず、特定の委託者を相手にして、継続反復ではなく、原則として一度限り引き受ける信託です。商事信託とは異なりますが、委託者との信託契約は必要であり、自己信託や限定責任信託なども活用できます。 受託者には「禁治産者でない」などの要件があり、信託財産の登記や信託財産の保護など商事信託と同様の信託法の適用を受けますが、信託業法の適用は受けません。 民事信託では、受託者が信託報酬を得てはならないため、一般的に限られた人が受託者となります。欧米には、委託者の家族が受託者となるファミリー・トラストがありますが、日本にも信託法改正によりファミリー・トラスト(家族信託)が生まれたわけです。例えば、老いた父の財産を子や孫が受託者として引き受け、意思判断が曖昧になった親になり代わって、法的にも経済的にも子や孫が代行するがごとく振る舞う。これが家族信託です。委託者受益者受託者信託財産利益家族② 家族信託のしくみ 家族信託は、財産を持っている人《委託者》が信託契約を締結したり、遺言をしたりする方法によって信頼できる家族《受託者》にその財産《信託財産》の名義や管理・処分権を移転させ、その信託財産を運用・管理・

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