グレーゾーンから考える相続・贈与税の土地適正評価の実務
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 本書の初版は平成26年6月に刊行された。その後、平成27年に相続税・贈与税の大改正が施行され、相続税の基礎控除引下げ、税率構造の見直しが行われた。この改正により課税の対象者は急増し、税務にかかわる実務家だけでなく、一般の関心をも集めることとなった。 土地評価の判断に迷う点すなわちグレーゾーンに対する考え方に対して、多くの読者の方から反響があり、評価実務に従事する実務家においても疑問に感じたり悩まれたりしていることを実感している。 そのような中で、前著から2年を待たずに『グレーゾーンから考える 相続・贈与税の土地適正評価の実務』の新版を発刊する運びとなった。 今回の改訂にあたって追加した主な項目は以下のとおりである。(イ) やはり納税者と課税庁とで最も多く争いが生じている論点が広大地である。公共公益的施設用地の負担の適否が争われた事例を新たに4つ追加した(いずれも納税者敗訴)。(ロ) さらに広大地の評価の前提として関心の高い論点が評価単位である。注目された一括賃貸借契約に基づく複数の貸家の評価単位が争われた事例や、赤道が存する宅地の評価単位の取扱いを新たに追加した。(ハ) 実務上頻度の高いマンション用地の評価について、具体的な評価方法が財産評価基本通達に明示されていないことから新たに解説した。(ニ) 比較的実務上の頻度は少ないものの、取扱いの不明確である埋蔵文化財や産業廃棄物などの地下埋設物がある場合の評価方法の取扱いについて体系的にまとめることとした。 相続税は、土地の評価によって課税価格が大きく変わるため、よりグレーゾーンに関する判断は重要性を増す。本書が土地評価にかかわる実務家にとって参考となれば幸いである。 最後に本書の刊行の機会を与えてくださった株式会社清文社の代表取締役小泉定裕氏、編集にご尽力いただいた編集部依田文実氏に御礼申し上げたい。 平成28年4月税理士 風岡 範哉新版発刊にあたって

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