税理士から顧問先へ伝えたい 税務自主監査の着眼点
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平成30年12月に国税庁から公表された「平成29事務年度法人税等の調査事績」の概要によれば、98,000件調査し、73,000件(74.4%)に法人税の非違があったと報告されています。また、「第143回国税庁統計年報(平成29年度版)」によれば、申告法人数は2,840,870社であり、実調率は3.4%と非常に低い値が算出されていますが、いったん調査を受ければ、調査1件当たりの申告漏れ所得金額は10,235千円、追徴税額は1,995千円と看過できない数字が公表されています。同様に、調査課所管法人においても、調査1件当たりの申告漏れ所得金額は186,207千円、追徴税額は32,391千円と公表されています。ご承知のように大規模法人については令和2年4月以降、電子申告が義務化されます。いずれ中小法人の電子申告義務化も俎上に上がってくると思われますが、これらは行政事務の効率化を図り限られた定員・人的資源を実地調査等に振り向ける布石とも考えられます。さらに、会社事業概況書には、冒頭で触れた確認表の利用状況につき「活用の有無」欄が設けられたほか、足元の実地調査においては、利用状況について確認を兼ねて意見聴取が行われており、国税当局がいかに自発的な適正申告への取組み奨励に力を入れているか窺い知ることができます。3税務行政の現状(局調査・署調査体制の現状と動向)第1節

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