中小企業のための事業承継ハンドブック
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Ⅰ 事業承継概論8⑷ 「どれだけ」(How much, many) 3までの検討で、少なくとも、事業承継の対象となる財産等を誰から誰に引き継ぐのかまでの検討を終えています。次のステップは、経営権を除く「議決権」と「財産権」について、どの程度、引き継がせるのかの検討になります。この時に、例えば、相続時精算課税方式による贈与を活用して2,500万円までの非課税枠を使いたいとすると、その枠内で検討することになりますので、一度決めた「どれだけ」であっても以下の7の検討時に見直しをすることもあります。対 象一度に全部段階的に全部一  部議決権財産権⑸ 「いくらで」(How much) この検討は、実務的には非常に重要になります。財産権の移動には当然に資金負担が生じますが、スキームの選択(移動方法の選択)によって財産権の移動に伴う税金を誰が実質的に負担するかが変わってくるからです。よって、このステップの検討も以下の7の検討時に見直しをすることもあります。また、財産権を移動するに際しては移動価額決定のための評価の問題も考慮しなければなりません。買い手はより安く、売り手はより高くと利害の相反する第三者間取引では移動価額の問題が生ずることは少ないですが、同族間の移動等では、いわゆる「お手盛り」になりやすいことから、税務上移動価額に制限が加えられる場合があります。正確には、当事者間での移動価額が税務上の算定方式等で求められる価額と異なる場合、通常の税負担に加えて、プラスアルファの税負担を強いられる可能性があるということです。これらをまとめると以下のようになります。

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