中小企業のための事業承継ハンドブック
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序  文 わが国の企業全体に占める中小企業の割合は会社数で考えれば、99%以上となっており、中小企業は地域経済のみではなく、雇用の確保等わが国経済においても極めて重要な役割を果たしています。近年は、経営者の高齢化や少子化等による後継者不足など、事業承継が円滑に進んでいない中小企業が増加傾向にあることから、国の施策として、平成20年5月に、①遺留分に関する民法の特例、②事業承継時の金融支援措置、③相続税・贈与税の納税猶予の特例(いわゆる事業承継税制)を柱とする「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」が成立しました。平成25年度税制改正において、これらが拡充され、中小企業にとって、一層活用しやすいものになりました。また、平成18年5月に施行された会社法は、種類株式等中小企業の事業承継対策に活用できるスキーム等が用意され、その後の改正でさらに多様化され、選択肢が広がっています。このような様々な法制度が整備されているにもかかわらず、まだまだ十分には認知されておらず、活用もこれからかと思われます。 日本公認会計士協会でも、中小企業支援を協会としての中心活動の一つとしてとらえ、平成25年9月に、中小企業支援対応プロジェクトチームを設置し、平成26年8月には、常置委員会として中小企業施策調査会を立ち上げ、事業承継もその支援事業の柱の一つとして掲げ、活動を既に開始しております。 本書は、当協会の会員のみならず、中小企業支援に携わる全ての方、また、事業承継に問題を抱える経営者の方々のご参考となるよう、事業承継概論、事業承継スキームと関連法規、事業承継に係る各種評価方法等多岐にわたって解説をしております。 本書の全体的構成は以下のとおりです。 第1章では、事業承継概論として、事業承継対策の全体像についてその考え方を整理しています。 第2章から第6章では、事業承継スキームの選定と関連法規の解説をしております。第2章は事業承継に係る民法の定め、第3章は事業承継に係る会社法

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