中小企業のための事業承継ハンドブック
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第3章 事業承継に係る会社法の定め171ウ.その他留意事項 非課税枠を超えた生前贈与を行う場合、贈与税が生じることから適切なタックスプランニングを行う必要があります。また、株式の移転の結果、現経営者の議決権が減少することになるため、現経営者の影響力が弱まる可能性があります。そのため、例えば、現経営者に対して、会社経営における重要事項について決議を要するような拒否権付株式を発行すること等を行い、現経営者が後継者を監督できるように工夫を行う必要もあると思われます。② 無議決権株式の活用(種類株式の活用)49ア.概要 対策の2つめとして、無議決権株式を発行すること等により、今後、オーナー一族以外の新たに株主に加わる者に対しては無議決権株式を交付していくことが考えられます。これにより、仮にこれらの株主が現経営者や後継者に対して敵対的な行為を取るような場合でも、議決権はすでに排除されており、会社運営に支障はありません。ただし、仮に後継者に対して売渡請求が生じた場合において、売渡請求対象者である後継者以外の者は売渡請求決定の株主総会において、議決権を持たないことになります。本来、売渡請求決定の株主総会において、売渡請求対象者である後継者は議決権の行使ができませんが、上記のように売渡請求対象者以外の株主の全部が議決権を行使することができない場合には、売渡請求対象者である後継者が議決権の行使をすることができます(会175②但書)。そのため、当該株主総会において、反対決議をすることで、売渡請求を避けることができます。後継者以外の株主に議決権がないことから、後継者が議決権を行使できるようになる。そのため、後継者は売渡請求の決定決議において反対することができる。現経営者後継者(議決権あり)売渡請求の決定決議無議決権株式等を交付することで議決権を与えない。現経営陣相続発生敵対的少数派株主(議決権なし)反対!

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