小規模社会福祉法人の法人運営と財務管理
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6予備調査について会計監査人候補者は、監査を受ける法人が監査に対する協力体制の状況が整っているか、監査に対応可能な内部統制が構築されているか、その他監査を受嘱するにあたっての課題の有無等について調査します。具体的な内容は一般的に次のようなものになります。調査項目主な手続1.法人の概況理解内部統制を含む、法人及び法人環境を概括的に理解することです。具体的には法人の沿革、業務内容、役員の氏名、役職、取引先関係その他監査のために必要な重要事項で、把握のため関係書類等を閲覧し、又は責任者に質問します。ここで、内部統制とは、企業の財務報告の信頼性を確保し、事業経営の有効性と効率性を高め、かつ事業経営に関わる法律の遵守を促すことを目的として企業内部に設けられ、運用される仕組みをいいます。2.理事長及び監事との面談理事長及び監事に対してガバナンスの考え方、リスクの把握、誠実性、法人運営方針、課題等をヒアリングすることです。3.諸規定の整備状況法人運営にとって必要な定款、経理規程等の諸規程が適切に整備されているか確認する手続です。4.過去の計算書類等の調査法人の過年度の財政状態、事業活動の状況、資金の状況の概要を把握するため、過年度の計算書類等を調査します。5.期首残高の調査監査契約初年度の計算書類の残高の実在性、網羅性を確認するための手続きです。適正監査手続きである実査・立会・確認、及び質問、関係書類、関連証憑との突合を実施します。さらに計算書類等の表示については、社会福祉法人会計の基準に定める様式に従っているかについて確認します。6.会計方針選択と適用の妥当性法人が選択している会計処理の原則及び手続きが、社会福祉法人会計基準に準拠したものになっているかについて確認する手続です。7.内部統制の整備状況収益・購買・人事・在庫管理などの基幹業務の流れと管理状況、及び資金管理・固定資産管理などの状況を、質問及び書類の閲覧により確認します。8.報告書の作成監査法人の社内作業で調査結果を取りまとめ、予備調査報告書を作成します。その後報告会を開催し、調査報告を詳細に発表します。3 監査プロセス・スケジュール●3−1  監査の実施の方法(リスク・アプローチ)会計監査人は、計算書類(貸借対照表、資金収支計算書、事業活動計算書)、付属明細書及び財産目録が適正に作成されているかを確かめなくてはなりません。しかしながら、適正に作553 監査プロセス・スケジュール

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