士業者のための実は危険な委任契約・顧問契約
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1102-32 催告の方法についてQどのような方法で「催告」(改正法541本文)を行う必要があるのでしょうか。A改正法第541条本文(現民法541と同一内容です)の「催告」は、債務の履行を促すことを内容とすれば足りると解されており、期間内に履行しなければ解除する旨を明示する必要はありません64。もっとも、履行を促すだけの場合は、一定期間経過後に、別途、解除の意思表示をしなければならなくなります。 また、改正法541条本文における「相当の期間」がどれほどの長さの期間であるかは、債務の種類によって様々であり、一義的な期間ではありません。もっとも、「相当の期間」については、社会通念上債務の履行をするのに必要な期間であればよいと解されており、また、債務者が履行の大体の準備をしていることを前提としてよいと考えられております65。例えば、金銭債務の場合には、債務者が支払うべき金銭を準備していることを前提に、振込等の支払手続に要する期間を与えればよいことになりますので、2、3日程度の猶予期間を相当した判例もあり66、一般的には、1週間程度の期間とする例が多いと思われます。64 我妻榮=有泉享=清水誠=田山輝明『我妻・有泉コンメンタール民法―総則・物件・債権―(第4版)』(日本評論社、2016年)1033頁65 大判大正13年7月15日民集3巻362頁66 最判昭和30年3月22日民集9巻3号321頁、最判昭和37年12月18日裁判集民63号697頁参照

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