地代・家賃改定の実践手法
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第1章 賃料とは何か 〜その本質を知れば百戦あやうからず〜3 一人暮らしを始めるため単身用の賃貸マンションを借りる場合、起業して事務所ビルを借りる場合、ラーメン店を経営するため幹線道路沿いに店舗を借りる場合など、様々な場面で不動産を借りることがある。これは、民法第601条による賃貸借契約を締結することにほかならない。同条において「賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」とされている。貸す側の人を賃貸人、借りる側の人を賃借人という。 冒頭の例は、建物を賃貸する場合であるが、土地を賃貸することもある。いわゆる借地であるが、いずれの場合も賃借人が賃貸人に賃料を支払うことになる。そして、一般的に建物の賃貸借により授受される賃料を「家賃」、土地の賃貸借により授受される賃料を「地代」という。*          * さて、賃料に関係するトラブルは非常に多く、弁護士や不動産鑑定士には多くの相談が寄せられる。「賃料が高すぎて(もしくは安すぎて)どうにかしたい」、「家賃の改定を賃貸人から迫られたが、あまりにも高い額を要求されている」、「祖父の代から土地を貸しているが、まったく地代の改定を行ってきておらず低廉な地代しかもらえていない」など、様々な問題がある。 こういった問題が発生するのは、日本独特である。日本において平成4年までは、(旧)借地法や(旧)借家法、それ以降は借地借家法という

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