地代・家賃改定の実践手法
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第1章 賃料とは何か 〜その本質を知れば百戦あやうからず〜5 一口に賃料といっても、実質賃料、支払賃料、実際賃料、正常賃料、新規賃料、継続賃料、限定賃料、純賃料など、場面に応じて様々な表現がされる。このような賃料には、いったいどういった違いがあるのか。基本的な知識として、まずはそれぞれを把握しておかなければならない。1 実質賃料と支払賃料 賃貸マンションの広告を見ると、月額家賃100,000円と表示されていたりする。これは、毎月100,000円の家賃を支払うという契約内容であることにほかならない。一般には、単に「賃料」とか「家賃」という表現をするが、正確にはこれを「支払賃料」という。毎月支払う賃料であるためこのように呼ばれる。そして、支払賃料に対応する概念として「実質賃料」というものがある。こちらはあまり聞き慣れないが、支払賃料と実質賃料は、賃料を考えるうえでとても重要な概念である。 さて、賃貸マンションの広告をさらによく見ると、月額家賃以外にも、敷金や保証金、礼金や権利金、更新料といった金銭も目にする。これらは、毎月定期的に支払う金銭とは異なり、契約時や更新時に支払われる金銭であり、一時金というものである。これらの一時金も、賃借人が負担する金銭であり、いくら月額家賃が安くても、高い一時金を支払うのであれば、借りたくないものである。毎月支払う賃料の額も重要であるが、これらの一時金も含めて、賃借人が賃貸人に支払う実質的な金銭の額も重要なのである。 不動産鑑定士が鑑定評価を行う場合、「不動産鑑定評価基準」(以下、本章において「基準」という)に則って評価をしなければならない。この基

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