地代・家賃改定の実践手法
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52値上げ要求を賃借人が承諾しない場合に所有権を譲り渡し、新しい所有者が明け渡しを求めるという「地震売買」が横行していたため、賃借人の保護を目的として制定された。(2)借地法制定・借家法制定 1921年(大正10年) 建物保護法では不十分であった借地権者の保護に重点を置いて借地法が制定された。建物の所有を目的とする地上権ないし賃借権が「借地権」と定義され、存続期間、建物買取請求権、建物の朽廃・滅失時の関係等について規定された。契約期間満了により権利は消滅するとされていた。借家法は、建物の引渡しを対抗要件とすること、存続期間、家賃増減請求権、造作買取請求権などが規定された。(3)借地法改正・借家法改正 1941年(昭和16年) 太平洋戦争開戦を目前にし、民生安定政策の一つとして、「正当事由」制度が導入された。契約期間満了時、土地・建物所有者が更新を拒絶するには相当な「正当事由」が必要であるとされ、事実上更新拒絶は困難となったのである。借地権は、「建物朽廃」により消滅するものとされた。また、ほぼ同時期(昭和14年~)に地代家賃統制令のもと、地代と家賃の値上げが規制された。一度土地建物を貸すと取り返すことも、賃料の値上げもできないという土地・建物所有者にとって困難な状況が作りだされた。(4)借地法改正・借家法改正 1966年(昭和41年) 戦後の住宅難、その後の高度経済成長に伴う住宅需要の高まりを背景に、借地法が改正された。主な改正内容としては、借地条件の変更(非堅固建物所有目的から堅固建物所有目的への変更)、借地上の建物の増改築、借地

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