地代・家賃改定の実践手法
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53第3章 賃料相場を知る 〜今の賃料は高い? 安い?〜権の譲渡・転貸に当たり土地所有者の許可が得られない場合、裁判所による承諾を得られることとした点(借地非訟制度の導入)、家賃増額請求について、増額裁判が確定するまでは借地権者が相当と認める地代を提供すれば債務不履行にならないと改定した点が挙げられる。 この法改正により、土地賃借権は土地所有権に近い効力を有するに至り(物権化)、借地権者の「住み続ける権利」は最大化される。土地所有者に極端に不利な状況であることから、昭和50年代に入ると、新規の借地供給は急速に減少していく。なお、この「住み続ける権利」を放棄する対価として「立退料」が取られるようになり、その反作用として、借地権設定に当たっては多額の権利金が授受されるようになった(物権化した権利設定の対価あるいは将来の「立退料」に備える防衛策)。 借家法改正については、地代と同様に家賃増減請求権の改定、相続人不存在の場合の内縁配偶者等への借家権帰属について規定された。(5)借地借家法制定 1991年(平成3年) やがてバブル景気をむかえ、地価は急騰。土地の供給が極端に少ない中、土地利用を阻害している借地制度が問題となり、建物保護法、借地法、借家法が統合された借地借家法が制定される(平成4年施行)。定期借地権、定期借家権が創設され、普通借地権の存続期間の変更、正当事由の明確化、自己借地権の創設などが規定された。借地借家法制定後、新規の借地については、普通借地ではなく定期借地が選択されることが圧倒的に多い。一方、新規の借家については、割安の家賃を敬遠して普通借家契約を締結することが多いが、近年の地価高騰・都市部のオフィス需要のひっ迫を受け定期借家契約も増加しているものとみられる。 借地借家法制定はされたものの、旧法で契約された借地・借家契約につ

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